リハビリテーションとは単に訓練をさす言葉ではなく、障害をもった方が可能な限り、もとの社会生活をとりもどすことを意味します。障害自体が軽減するように機能訓練を行うとともに本人が生活の中で積極的に体を使うことも重要となります。さらには身体の不自由が残っても安心して生活ができるような環境の調整が必要です。
当院のリハビリテーションの取り組み
当院のリハビリテーションは、運動器の手術やケガの後の機能回復のための治療、装具や義肢の作製や調整なども行っています。リハビリテーション科専門医と理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの専門職がその人その人に合う最適なメニューを作り、丁寧に訓練を行います。
日常動作の不自由やストレスを解消し、健康で快適に生活できるようサポートしています。
当院のリハビリテーションの特徴
当院では、日本病院機構リハビリテーション専門医1名、理学療法士、作業療法士の体制でリハビリテーションを行っています。
令和6年6月1日時点で、脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅲ)、廃用症候群リハビリテーション料(Ⅲ)、運動器リハビリテーション料(Ⅱ)を算定しております。
当院では最低1回あたり20分(1単位)のリハビリテーションを基本としています。
リハビリテーションを行う事が出来る期間について
疾患別(外来)リハビリテーションは、疾患に応じてリハビリテーションが出来る期間(算定期間)が決まっています。
算定期日を過ぎた後のリハビリテーションについて
介護保険を受けていない方:ひと月に13単位(260分)までリハビリテーションを行う事が可能です。
介護保険を受けている方:介護保険による通所リハビリテーションに移行します。
疾患別リハビリテーション | 算定日数(リハを行う事のできる期間) |
---|---|
脳血管疾患等リハビリテーション | 発症・手術・急性増悪または 最初の診断日から180日 |
廃用症候群リハビリテーション | 診断・急性増悪から120日以内 |
運動器リハビリテーション | 発症・手術・急性増悪または 最初の診断日から150日 |
リハビリの流れ
〈初診の方〉
1. 当院ホームページの予約サイトからの初診予約が基本ですが、電話による予約、直接当院へ来院にも対応いたします。(可能であれば紹介状をお持ちください)。
2. 受け付けののち、問診・診察・必要に応じた血液検査・レントゲン検査を行い、初回評価日を設定します。
3. セラピストによる初回評価・カウンセリング・リハビリ計画の提案・作成を行います。
4. リハビリ予約(最短で初回評価の翌日からのリハビリ開始となります)。
〈リハビリ予約のある方〉
1. 受け付けの後、診察を受け、リハビリ室にご案内いたします。
2. リハビリ終了後、次回予約。
*医師法第20条により無診察診療は認められておりませんので、必ず医師の診察が必要です。
*担当医師とセラピストのチームでカンファレンスを行い、リハビリプランの検討を行っております。
*患者様の要望や進捗状況により、リハビリプラン作成後も追加や変更を行います。
*6か月以上リハビリが中断していた場合は、改めて問診・診察ののち、リハビリプランを作成します。
リハビリテーションの注意点
医療・介護の現場でのリハビリテーションは、病気やけがの後療法として、従来の動作や生活に近い状態を再獲得する事です。
「完全に元の状態に戻すこと」ではなく、「その人の現状に見合った生活を獲得するための治療やトレーニング全般」が目的となります。
リハビリテーションは「魔法」ではありませんので、障害前の状態に完全に戻すことはできません。
リハビリテーションの専門職について
理学療法士
(りがくりょうほうし、英語:Physical TherapistまたはPhysio Therapist、略称PT)
運動機能の回復のため、ストレッチやトレーニングを行います。マッサージ、電気治療、温熱治療などを組み合わせながら、機能改善を目指します。
様々な器具を活用して、基本機能の向上を図ります。
作業療法士
(さぎょうりょうほうし、英語: Occupational therapist、略称:OT)
作業療法士は日常的な作業を行い、心身両方のケアをするのが仕事です。日常生活に必要な作業が出来るための訓練を行います。
具体的な、工芸や運動、レクレーションなども取り入れながら機能回復を図ります。
また、精神疾患など、心の病により損なわれた機能回復も対象とします。
言語聴覚士
(げんごちょうかくし、英語: Speech-Language-Hearing Therapist 、略称ST)
先天性傷害や病気、ケガなどで「聞く」「話す」「飲み込む」といった機能が困難になった人に対し、コミュニケーション手段の獲得、発語発話、構音、摂食嚥下などについてのサポートを行います。
また、口腔や喉の機能回復をサポートするのも言語聴覚士の仕事です。
いずれも国家試験により認定された有資格者であり、患者さま一人ひとりの状況に合わせて、リハビリテーション専門医とともにチームでリハビリテーションを行います。
運動療法
筋力や柔軟性を向上させて痛みを和らげます。痛みが抑えられることで、日常生活のさまざまな動作もストレスなく行えるようになります。
運動療法は単純に症状を緩和させるだけでなく、快適に日常生活を送れるようにすることが重要です。
理学療法士が筋肉、靭帯、関節など身体に無理な負担がかからないよう調整して、患者様一人一人に合わせたプログラムを作成します。
また、ご自宅でできるストレッチやエクササイズ、動作の際の注意点などもしっかり指導しています。
筋力が向上し、身体の正しい使い方がわかると正しい姿勢の保持を楽に行えるようになり、動作の際に身体へかかる負担も軽減されます。
また、全身の血流が改善して基礎代謝も上がります。
全身のバランスを考えてプログラムを作りますので、鍛えにくい部分もバランスよく鍛えることができます。
全体のバランスがよくなると全身への負担が軽減でき、転びにくくなるなど故障もしにくくなります。
お困りのことやお悩みなどがありましたら些細な内容でもお気軽にご相談ください。
AYUMI EYE(動作解析)
当院では患者様の歩行動作やリハビリテーション効果を確認するために、AYUMI EYEを用いて歩行または歩行パターンの動作解析検査を行っています。
動作解析とは歩行中のさまざまな要素を計測し、数値化するプロセスです。 AYUMI EYEでは、安全で効率的な歩行を実現するために必要な「推進力」「バランス」「リズム」の3点を正確に測定・評価します。測定時にバランスや歩幅など変化を可視化することでリハビリテーションや日常的な活動や運動への意欲の発展につながります。目黒区通所型サービスCのトレーニング教室でも使用されている動作解析装置です。
〈測定方法〉
モジュール(加速度センサー)を腰部にベルトで装着し、6~10メートル院内でいつも通りに歩いていただきます。
足で地面を蹴り出した時や着地した時に生じる地面の反力などを腰に装着した加速度センサーにて計測します。
〈測定結果からわかること〉
-
バランスの状態
身体の重心がどの方向に移動しているかを把握することで、バランスの状態を評価することができます。たとえば、身体の重心が前方に傾いている場合、前に倒れている可能性があります。 -
姿勢の安定性
身体の重心が中心に位置しているかどうかを確認することで、姿勢の安定性を評価することができます。身体の重心が安定している場合、姿勢が安定していると言えます。 - 運動の効率性
身体の重心の位置や移動パターンを分析することで、運動の効率性やパフォーマンスを評価することができます。適切な重心の管理は、運動やスポーツの効果的な実行に不可欠です。 - リスクの評価
身体の重心の移動や安定性の変化は、転倒や怪我のリスクを評価する上で重要です。身体の重心が不安定である場合、転倒のリスクが高まる可能性があります。
動作解析で取得したデータから、治療計画や運動障害や神経障害の評価、リハビリテーションプログラムの設計、転倒や怪我のリスクの予防、スポーツ傷害の予防、スポーツパフォーマンスの向上などに役立てることが可能です。
物理療法
さまざまな医療機器を使って、痛みや筋肉の緊張を緩和させます。深部などへピンポイントに届く温熱・マッサージ・血流改善などの効果によって、運動療法効果のアップも期待できます。患者様の状態や既往症などに合わせて使用する機器や強さ、モード、時間などをきめ細かく調整しています。
物理療法が制限されるケース
- 心臓ペースメーカーを埋め込んでいる
- 重度の心臓・血管疾患
- 切り傷・すり傷・皮膚疾患
- 悪性腫瘍の治療中
- 妊娠中、あるいは妊娠している可能性がある
- 痙攣発作の経験がある・起こす可能性がある
- 急性期状態の疾患
- その他、適宜判断します。
当院で行っている主な物理療法
温熱治療(フィジオパック)
患部をじっくり温めることで固くこわばっていた筋緊張がゆるみます。血流が改善して酸素と栄養素がすみずみまで届きます。さらに、老廃物と共に痛みを起こす物質が排出されて代謝が改善し、痛みが緩和します。フィジオパックは5種類の鉱石(ブラックシリカ、ゼオライト鉱石、ゲルマニウム鉱石、トルマリン、テラ鉱石)と磁器セラミックボールを配合し、長時間高い温度を持続させ心地よい温感を保ちます。
低周波治療器・干渉電流型低周波治療器組み合わせ理学療法機器(伊藤超短波 ES-5000)
立体的動態波モード(3D干渉電流刺激療法)
3対の異なる高周波の電流が生体内部で干渉し、立体的で複雑な電流のうねりを発生させ表層部から深層部まで広範囲に治療が行えます。
3D EMSモード(3D神経筋電気刺激法)
不随意的な筋収縮を起こし、筋力強化を立体的に行え、EMSモードより深い部位への治療が可能です。
3D MENSモード(3Dマイクロカレント療法)
微弱な電流で損傷組織の修復を早め、損傷部の治癒を促進するマイクロカレント療法を立体的に行えます。
Hi-Voltageモード(高電圧電気刺激療法)
単相性のツインピークパルス波形を用いて150V以上の高電圧で深部組織までの治療を可能としました。
ENSモード(神経筋電気刺激モード)
自分の意志とは関係なく不随意な筋収縮を起こし、筋力強化を行います。
MCRモード(マイクロカレント療法)
損傷電流と同レベルの微弱電流により損傷組織の修復を早め、損傷部の治癒を促進します。
超音波治療器・超音波骨折治療器(伊藤超短波 UST-770)
「ULTRASOUND」と「LIPUS(Low Intensity Pulsed Ultra Sound」の2つの機能を搭載し、これ1台で超音波治療器と超音波骨折治療器の機能があります。 「ULTRASOUND」は、深部の幹部も直接温めることが出来る立体加温と1秒間に数百万回のミクロマッサージ効果で深部に直接刺激を与えることが出来ます。
「LIPUS(Low Intensity Pulsed Ultra Sound」は損傷を受けた軟部組織の治療に適した低出力超音波で、浅部から深部まで様々な幹部の治療に対応します。
また、音圧効果により骨折部位の骨形成を促進し、骨癒合期間を短縮させます。
スリングセラピーベッド モビラ
電動昇降ベッドとの一体型のスリング治療器です。スリングにより腰部、上肢、下肢をサポートして自重を免荷し、スムーズな関節運動を呼び起こすことが出来、徒手による圧迫・牽引、促通法などの徒手療法を有効的に補助します。
自費診療リハビリテーション
上記のように医療保険のリハビリテーションや介護保険での通所リハビリテーションでは保険が使える反面、リハビリの時間・回数・期間に医療制度上の制限があり、個々の希望に応えることが出来ていません。このため当院ではこれらの要望にお応えするため自費診療リハビリテーションを行います。
対象:医療保険の算定日数を超えた方、医療保険や介護保険で医療保険の適応にならない方、年齢・疾患・継続期間・期限に制限はありません。
リハビリの流れは保険診療の場合と同様です。
自費診療リハビリテーション料金のご案内
【運動器自費診療リハビリテーション】
初回 | 初回評価・カウンセリングおよびリハビリ計画の提案・作成 60分 9,900円(税込) :予約料込 |
---|---|
2回目以降 |
自費診療リハビリテーション料金 |
【脳卒中・変性疾患自費診療リハビリテーション】現在ご提供に向けて準備中です。
① 当院では、自費診療リハビリテーションについては、時間やセラピストを確保し、安定した医療サービスを提供するための予約料を頂戴いたします。
② ただし、リハビリの開始時間がご予約より20分以上遅れた場合は、予約料は頂戴いたしません。
③ 10分以上予約時間が過ぎてもご連絡・ご来院がない場合はキャンセルとさせて頂き、次回は一度受診して頂いたうえで、再度予約を取って頂きます。
④ 自費診療リハビリテーションのご利用に当たっては、本人の連絡先と緊急連絡先の登録が必要です。担当セラピストがやむを得ない事情により欠勤となった場合、お電話を差し上げます。
キャンセルポリシー
当院の自費診療リハビリテーションは、完全予約制で運営しております。「当日キャンセル」は何日もお待ち頂いている他の患者様に大変ご迷惑がかかるだけでなく、当院のリハビリ室の運営面からもご遠慮いただきます。
ご予約日時の1営業日前より後にキャンセルされた場合には、次回のご予約をお断りさせて頂き、確実にご来院可能な日の当日に直接ご連絡頂き、ご予約をお取りください。
何卒ご理解・ご協力のほど宜しくお願い致します。
*地震・災害など不可避な事情の場合はこの限りではありません。
注意事項
1)医療費控除の申請について
当院では医師の診察や検査ののち適応を判断し、医師の指示のもとリハビリを行っているため、確定申告することで医療費控除が受けられます。詳しくは所轄税務署にお問い合わせください。
2)自費診療リハビリテーションの対象について
運動器疾患(骨折、脱臼、靭帯損傷、変性疾患及びその術後、脊椎脊髄疾患の術後、など)、脳血管疾患(脳梗塞、脳出血、くも幕下出血、など)が原因で、「自分で歩けない」「生活するうえで支障がある」「食事が上手にできない」「上手く話せない」などの後遺症があり、発症から6か月(180日以上)経過している方が対象です。
3)発症から何年も経過している場合について
発症からの経過が長い方や、途中でリハビリを中断している期間が長い方も対象です。
4)他の診療・治療との併用について
健康保険法第44条により、本邦では混合診療は認められておりません。
従って、自費診療リハビリテーションの場合、リハビリ日は保険での診療・治療・投薬などは原則行えません。保険での診療・治療・投薬などをご希望の場合は別日でのご予約をご案内致しますのでお申し出ください。